「オレさ、なんか最近、ミョ~に気になるんだよな」
「どうしたの。銀河が悩むなんて珍しいね? C-DRIVEのトキちゃんのこと?」
「ったく、そんなコいねーよ! オレだって悩むことくらいあるさ。バカにすんな。」
「ごめんごめん。で、何があったの?」
「実はさ、ベガさんの正体、オレのかあちゃんじゃないかって気がすんだよな。」
「え゛?!」
「ベガさんって凄い使い手じゃン。で、うちのかあちゃんも少林寺拳法の師範代。ベガさんバイクで海の上まで走ってたけど、かあちゃん、とうちゃんと結婚する前は暗怒露女蛇(アンドロメダ)っていうレディースの総長だったって言ってたし。」
「レディースって?」
「女の暴走族のことだよ。おまけに髪の毛、長いだろ。どう考えてもかあちゃん、ベガさんだよな・・・。」
「・・・そうかなあ。」
「それだけじゃないんだよ。最近、騎士凰牙来なくなったじゃん。うちのとうちゃんが、この前ふらっと帰ってきて、また中国に行っちゃったろ。あの頃から騎士凰牙も来なくなったと思わねぇか?」
「それで?」
「お前も結構ニブイな。だからぁ、凰牙のパイロットとベガさんて実は夫婦でさ、おまけにオレのとうちゃんとかあちゃんなんじぁ・・・。」
「そういえばこの間、乙女ちゃんも怪しい男たちに連れてかれそうになったよね。」
「だろ、だろ?! ていうことはさ、オレってやっぱり、生まれた時から電童のパイロットになるって決まってたってことなんじゃあ!!」
「・・・あのさ、銀河。このまえ電気が止まっちゃった時、君のお母さんとベガさんが一緒に自転車こいでたって、エリス、言ってたよ。」
「北斗、やっぱりオレのかあちゃん、ベガさんだ。」
「まだ言ってるの、銀河?」
「ああ、絶対そうだ。例の謎の女の子の髪、緑だろ。そんでもってかあちゃんの名前がみどり。なっ、スゴイだろ!?」
「すごいだろって言われても・・・。」
「そんでもってさ、決定的なのがコレだよ、コレ!」
「うわぁ、何だよいきなり。あぶないじゃないか。」
「オマエ、もう忘れちまったのか? レオサークルが初めて出て来たときのコト。」
「ああ、月森町のショッピングセンターが騎士凰牙に襲われたときだよね。あのときは大変だったね。銀河、ギアコマンダーを机の引き出しにしまって、鍵かけちゃってさ。あっ! それ、あの時の!?」
「そうさ、あんときオレが机を叩き割ったハンマーさ。あんときはオレも夢中で気がつかなかったんだけどさ、何でこんなもんがオレんちにあんだ?」
「何でって言われても・・・。」
「あいかわらずニブイ奴だな。だからぁ、ベガさんてメジャー型ムチだの、ベーゴマ型爆弾だの、 突拍子もない武器、いっぱい持ってんだろ。きっとこのハンマーも、ベガさんの七つ道具なんだヨ!!」
「まじめに聞いた僕がバカだったヨ・・・。」
「倉崎、お茶。」
「はい、ただいま。私、黒崎がお持ちします。」
「村崎、柴漬けはないか。」
「御前、少々お待ちを。黒崎が承りました。」
「山崎、背中が痒い。」
「・・・」
「ウギャー!! もっと優しく掻かんかっ! 浜崎!! 皮が剥けてしまうではないか!!」
「く・ろ・さ・き、でございます。御前。」
それからというもの、西園寺公は彼に用を言い付ける時は目で合図を送るようになり、その名を呼ぶことはなくなったと言う・・・。
「か、かあさんの・・・母さんのシチューが、ウッ、食べたかった。」
「・・・仕方あるまい。北斗、これをお食べ。織絵が作ってくれたあの夜のシチュー、ワシの分は後で食べようと思って手をつけずにとっておいたのじゃ。ほれ、遠慮せずに・・・」
スパコ~ン!!
「ムグハッ! なっ、何をするのじゃ、白崎!!」
「色が変わっております、御前。」
♪夜の~ 食べ残し~ 巡り来し~ 朝食(あさげ)には~ ル~ルルル~♪