<序章>
「エリス! ホッタイモ、イジルナ!」
「何、銀河?」
「だから~! ホッタイモ、イジルナ!」
「エッ? あぁ、5時すぎよ。どうせ英語で言うなら、もっとちゃんとした発音で言ってよね! 一体だれに教わったんだか・・・。」
「ナニぶつぶつ言ってんだよ。違うよ! オレが彫ったイモ判にさわんなって言ってんの!」
「・・・?」
「ごめんね、エリス。 銀河、いま年賀状の準備をしてたんだ。 ほら、君がどかしたそれ、さつま芋で銀河が作ったバイパーウィップのスタンプ・・・。」
「なんてウイルスなの!? あらゆるワクチンパターンが効かないなんて。長官、博士、銀河と北斗が間に合わなかったときに備えて、私たちも総力戦の準備を!」
「エリス君の言う通りだ。いつでも出撃できるように、宇宙戦艦ファイティングアースとドリル戦車ぺルシダーのクルーは白兵戦装備の上で搭乗、待機を!!」
「なんなのこの光!? ああっ、ユニコーンとレオが・・・!」
「フッ、ユニコーンとレオが新たなる姿に形を変える様を見せられた時は、さすがにこの私も驚いたがな。こうして全てのデータウェポンが我が手にあれば、あとは赤子の手をひねる様なものよ。」
「兄上、データウェポンたちを一度に実体化させて放すのはお止め下さい。いくら兄上のお城が広いとは言え、私、落ち着いて座っていられません。」
「ベガよ、幼き頃の臆病だったお前に戻ってきたようだな。それでよい、それでよいのだ。私は少し宇宙(そと)に出てくる。お前はしばらくそこでデータウェポンたちとたわむれているが良い。」
アルテアの背中を見送るベガ。その時、ユニコーンとレオの背中が開き、中からGEARのクルー達 が・・・。
ドゥッ!!
轟音とともに立ちのぼる砂ぼこり。
泥と汗にまみれる6体のデータウェポンたち。
体育教師、草薙北斗の叱責が響き渡る。
レオ、ボア、ブル! 土台となるお前達3体が踏ん張らないでどうする!
ユニコーン、ドラゴン! 二段目がグラグラしてたら、決まるものも決まらないぞ!
バイパー! 一番上はポーズが大事だ! もっと背筋をのばせ!!
コラァ、レオとユニコーン! 勝手に合体しようとするな!! 自分の持ち場を離れちゃだめだ!!
こんなことじゃあ、明日の体育祭に間に合わないぞ! 6体合体DWピラミッド!!
なんだなんだ、お前達。その自信の無い目は。
いいか、初めっからうまくできることなんて、世の中にはないんだぞ!
さあ、皆であの夕日に向かって叫ぶんだ。
バッカヤロォォォォ~!!
「王が来ます・・・。」
ガルファとの闘いから3年。
少年の「思春期」は、機械帝国以上に手強く・・・。
母さん、なんであんな派手なカツラ持ってんだよ!
おまけに、引き出しンなかには忍者の七つ道具みたいなガラクタしまってあるし! いい加減、歳をわきまえてよ!
父さんも父さんだよ!
仕事、仕事ってほとんど家に帰ってこないくせに、たまの休みには僕を子供扱いしてサッカーのチケットで御機嫌とろうとして、なんかムカツクんだよ!
大人なんかキライだっ!
バッカヤロォォォー!!
「王が来ます・・・お呼びでない? ン、お呼びでない。 お呼びでないね~☆ コリャまった、失礼いたしましたっと。 ハラホレヒレハレ・・・」
「どうして僕達のまわりって、いろんなことが立て続けに起こるんだろうね。」
「って言うか、北斗のまわりって感じだけどな。」
「そんなことないわよ。いま起こっていることは、私たちみんなのまわりで起きていることじゃない。」
「そりゃそうだけどさ、北斗、最近やたらと叫べなくなっちゃったじゃん。あの緑の髪のコ、結構カワイイから、俺だったら毎朝叫んじゃうんだけどな♪」
「なにバカなこといってんのよ、銀河。でも、もうあのコもお呼びでないってわかったでしょうから、 叫んでみたって平気じゃない?」
「そうだね。それじゃあ、久しぶりに思いっきり・・・。
バッカヤロォォォ!!」
「凰牙ィッきま~す!!」